東芝はヤミ金の被害にあう人と似ている(及川修平 司法書士)

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「東芝」という名をニュースで聞かない日はない。

14日には、東芝は、アメリカの原発子会社で会計処理を巡って経営者が圧力をかけたという内部通報によって調査が終わらなかったため、決算発表の延期を行った。

東芝・米原発子会社の内部通報 詳細が判明
日本テレビ2017/2/15
東芝が14日に異例の決算発表延期を行う原因となったアメリカの原発子会社の会計処理を巡る内部通報の詳細が、日本テレビの取材で明らかになった。
東芝は14日、予定していた決算発表を急きょ1か月延期した。東芝はこれについて、アメリカの原発子会社で会計処理を巡って経営者が圧力をかけたという内部通報があり、調査が終わらなかったためと説明した。

アメリカの原発子会社の会計処理については、ここにきて大きくクローズアップされているが、1年以上前にすでに日経ビジネスなどがスクープとして報じていたところだ。

問題が小出しにされる様を見て、ふとどこかでよく見る光景だなと思った。

そうだ、ヤミ金融からお金を借りて返せなくなってしまい、法律家のところに相談に駆け込む人たちとそっくりなのだ。

「これで全部なの?」「うん、もう他からは借りてないよ」


以前ほどではないが、今でのヤミ金融からお金を借りてしまう人もいる。ヤミ金融の金利は、酷い場合は年率に直すと数千パーセントにもなり、とても返せるものではない。

ヤミ金融からの借入金を返すために別のヤミ金融からからお金を借り…などということを繰り返し、10件、20件借りるなどということも珍しくない。

だいたい借りるときは、親や兄弟の自宅や勤務先の電話番号などを言わされているので、支払いが滞ると、督促の電話がどんどんかかってくる。そうすると、ヤミ金融からお金を借りていることが親族にもばれてしまい、親に首根っこをつかまれて家族みんなで司法書士や弁護士事務所に駆け込むことになる。

そこではこんな会話が繰り広げられる。

「お前、こんなところから10件も借りて…。信じられん、情けない。おい、本当にこれで全部なのか?」
「う、うん、全部だよ、これだけだよ。」 しかし、経験上、この言葉は当てにならないことが多い。どういうわけだか、1件から2件くらいの借入先を隠すことが少なくないのだ。

隠し事をするとどうなる?


とんでもない事態を引き起こしてしまったという罪悪感やこれ以上自分の評価が落ちていくことが耐えられない…と感じてしまうからか、「1、2件くらいは自分で何とかしなきゃ、もうこれ以上迷惑はかけられない」と考えてしまうようだ。

しかし、例え1、2件でも借入先を残してしまえば、何の解決にもならない。借金の整理をすれば生活が楽になるから1件くらいならなんとかなると考えがちだ。しかし、それまでの生活は借金という収入があることを前提に成り立っている家計であったりするので、借金の整理で返済金が減るだろうが同時に借金という収入もなくなるわけで、劇的に生活が楽なるということはそうそうない。

ヤミ金融の尋常じゃない利息は先ほど述べたとおりでとても返せるものではない。その残したヤミ金融を何とかするために再び借金をせざるを得なくなる。当然、普通の金融機関は融資をしてくれるわけもなく、再びヤミ金融に手を出してしまう。そうなると嘘に嘘を重ねざるをえなくなってしまい、さらに深刻な事態を招いてしまうことになる。

プラスもマイナスもすべての情報を出し尽くしたうえで検討するべきだ


東芝の件は、真相がどうだったかはもちろん私にはわからない。ただ、今回のような事態になりかねないということは、経営陣にもわかっていたのかもしれない。「東芝解体」などというあまりに大きな事態に直面した際の重圧から、「まだ何とかなる」と正当な判断を見失っているようにも思える。

もちろん経営者としてそのようなことを言い訳にしてはいけないことだろうが、私は経済の専門ではないし、東芝の件について憶測で物を言うことは避け、ここでは少し身近に起こりうるトラブルについて掘り下げてみる。

ヤミ金融でお金を借りた人の例で紹介したとおり、なにかトラブルに巻き込まれた場合、「これくらいは自分で何とかできる」という考えは状況を悪化させるだけだ。

トラブルに直面したとき、実際には何が有利で何が不利になるか、その判断は難しい。まずはすべての情報を出し尽くしたうえで方策を検討するべきなのだ。

情報をすべて出し尽くすためには努力が必要


私の事務所にヤミ金融から借りてしまった方からの相談があった場合、家族みんなで相談に来ているようなケースでは、あえて別の日に、その相談者一人で事務所に来てもらって相談を聞くことにしている。そして「今言えないことがあったとしたら、いつでもよいので必ず話してくださいね」と声をかけるようにしている。

一度隠してしまうと、どんどん本当のことを言い出せなくなってしまうものだ。いつでも何を言っても大丈夫というメッセージを伝え、すべての情報を出し尽くさせるためだ。

司法書士や弁護士の中には、「それは関係ないから」と相談者の発言を遮って、「訊かれたことだけに答えてくれたらいい」というスタンスを持っている者もいる。打ち合わせはスピーディに進むのだが、重要な事実を発掘できない可能性がある。

裁判などは、依頼の事件が進んでいくにつれ、突然出てきた思いもよらない事実によって敗れることもある。

「今になってそんなことを言われても…」と依頼者との間でトラブルにもなりやすいのだが、ただこれは元をたどると事前に情報を出し尽くせなかったことが最大の問題だ。

情報をわざと隠すという意図はないとしても、すべて出し尽くすことには努力がいるということだ。

まとめ


情報を隠したりすべての情報を出し尽くす努力を怠ったりすると、状況を悪化させる結果ということは、会社でも個人でも変わらない。

問題にぶつかった時こそ、最善の策を取ることができるよう、恐れず情報をすべて出し尽くす必要がある。

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