ある会計検査官の話。
ある朝、出勤しようと準備している主人公(ハロルド)は、どこからともなく「声」が聞こえてくるようになる。
その声は、ハロルドの日々の行動や考えなどをピタリと言い当てているのだ。
混乱するハロルドは精神科を受診したりしながら、なんとかその声の原因を突き止めようとする。
いろいろ調べていくうちに、ハロルドは、どうも、カレンという小説家が執筆中の、ある小説の主人公となっていることに気付く。
カレンの書く小説では、主人公となったものは最後は、必ず死んでしまっているが…。
さて、ハロルドはどうなるか。
というストーリーです。
以前、テレビQ(東京でいうところのテレビ東京)で、やっていて、おもしろかったので、DVDをレンタルしてみた。
ハロルドは、毎朝歯を磨くときの回数をしっかり数えたり(72回)、
出勤の時に利用するバス停までの歩数を数えたり、
毎晩11時13分きっかりにベッドに入ったり。
そんな決まりきった生活が、「声」が聞こえてきたことをきっかけに少しずつ変わっていく。
昔からやってみたいと思っていたギターの練習をしたり、査察先のクッキー屋さんの女の子と恋をしたり。
ハロルドは、「自分のやってみたいこと・好きなこと」を通して、「自分自身」をどう生きていくか。
自分の人生においては、言うまでもなく、自分が「主人公」だ。
「自分」というものは、「自分の人生」という物語の主人公として、それをどのように作っていくか、ということなんだろう。
または、「主人公」として紡ぎだす「自分の人生」という物語には、ちょっとでも「自分というもの」が入っていなければ面白くない、とも言えるんだろう。
「自分のしている腕時計、友人のちょっとした心遣い、プールで泳ぐときに使う鼻栓…。
身のまわりにある物や人々は、実は隠された意味を持っている。自分の人生を支えてくれているのだ。」
というところが良かった。