司法書士が教える賃貸住宅を退去するときの注意点

公開日: 

45a674620d598c13e112967956c57ae8_m

先日の記事では、2月、3月の引越しシーズンにあわせて賃貸住宅の契約締結の際の注意点をまとめてみた(『司法書士が教える賃貸住宅に入居するときの注意点「びったれ!!第三話より」』)。


今回は、賃貸住宅の退去をする際の注意点をまとめてみる。

退去予告は契約書に記載してある方法で

賃貸住宅を退去する際の通知の方法は、賃貸の契約書に記載があるとおりの方法で行う必要がある。

退去の際の通知は、退去日のひと月前に書面で行うとなっている場合が多い。なかには退去予告のフォームを指定してある契約書もあるが、その場合は指定されたフォームで行わなければならない。

契約書に「書面で通知をする」となっている場合に、管理会社に「電話」にて退去予告を行った場合はどうであろうか。意外にこの退去予告を口頭で行ったためにトラブルに巻き込まれるケースが多いのだ。

退去予告を口頭で行ったとしても、管理会社が有効なものとして取り扱ってくれることがほとんどだ。しかし、口頭で行った退去予告は形に残らない。退去の多くなるこの時期であると、伝えていたつもりが管理会社の記録に残っていない…などとしてトラブルになる。「契約書に定められた方法で退去予告をしていないのだから、あとひと月分の家賃を支払ってください」などと言われてしまうケースもあるのだ。

トラブルとなることが予想される場合は、書面に残すということが大切だ。この退去の予告の際も同様だ。「伝えた」「伝わっていない」のトラブルを避けるためにも契約書に指定されている方法で書面にて予告をするべきであろう。

引越しをするときは全てを引き払う

ときどき、退去するときに不要となった家財道具を残してきた…という方からの相談を受けることがある。大家さんに勝手に処分をしてもらおうということなのだが、大家さんから処分費用を請求されてしまうばかりか、場合によっては「物を残している状態では引越しが完了していません。継続して家賃を支払ってください」などと言われてしまうケースもある。

退去完了とみなされるかどうかについては残してきた物にもよるだろうが、このようなトラブルに巻き込まれないために不要なものであっても賃貸物件に残したまま…ということのないように注意しなければならない。

退去時には立会いをする

引越しが完了した後は、管理会社と物件の確認のため立会いをするべきだ。キズの有無について確認をする必要がある。立会いをする際は、自分でも写真を撮っておくとよい。

立ち会いをする際は、「部屋の状況をお互い確認しました、という意味の書類です」などといって、管理会社が書類にサインを求めてくることがある。管理会社の準備してくる書類のなかには、本来入居者が負担しなくてよいはずのものを「入居者側の負担でリフォームを行う」という内容になっている書面があるので注意が必要だ。

なお、この場合に対処方法は『賃貸住宅を退去するときは「裁判」を意識して書類にサインをする』にて詳しく紹介しているので参照してほしい。

契約書の返還は必要?

退去完了後、賃貸住宅に関する契約書を返還するように…という管理会社がいる。しかし、これは返還する必要はない。契約書とはあくまで契約内容を明確にするために取り交わすものなのだ。退去時の原状回復費用の清算については契約内容によって異なることがあるが、契約書が手元にないとどのような清算をするべきか確認できなくなってしまう。

契約条項のなかに「契約終了後は契約書を返還するように」とする条項がある場合などは、少なくともコピーを残しておくべきであろう。

まとめ

これまで書いてきた注意点について、共通しているのは「書面に残すことの重要性」だ。

賃貸住宅にまつわるトラブルは依然として件数が多く、誰もがトラブルに巻き込まれる可能性がある。ときには裁判になることさえ珍しくはないのだ。

裁判の中では、書面を証拠として重要視する傾向にある。書面にサインをしていると、その書面に書いてある内容はすべて認めました…として取り扱われる。そのため事業者はことあるたびに「書面」を残そうとするのだ。携帯電話の機種変更をする際に何枚も書類にサインをさせられるが、これも同じことなのだ。

退去予告の方法や退去時には私物を残さないということは通常契約書に書いてあることだ。契約書にサインをしている以上、契約内容を守っていないという扱いになってしまう。一度サインをしてしまっている契約内容はよくチェックして、契約違反とならないか確認をしておくだけでもトラブルを避けることができる。

さらに一歩進んで、事業者と同じく、自らの行動を書面化するという視点を持つべきだ。退去時の立会いのときに写真を残すということもこの書面化の一つだ。

書面が残っているかどうかで裁判となったときの結論が左右されることはもちろん、交渉をする上でもとても役に立つものなのだ。

【関連記事】
司法書士が教える賃貸住宅に入居するときの注意点「びったれ!!第三話より」
刑事事件に発展する前に「騒音トラブル」解決策を知る
引越しシーズンは、賃貸の契約・敷金(退去時の原状回復)の清算に注意しましょう!
それでも続く賃貸住宅の保証人問題
高齢者の悪質商法被害を防ぐには?成年後見制度は機能するか?


シェアありがとうございます

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP ↑