「18歳で成人」まであと4年。本当に大丈夫かNEWS小山さんの問題から考えてみた。 (及川修平 司法書士)

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アイドルグループ「NEWS」のメンバー、小山慶一郎さんが未成年の女性と飲酒していたとして、大きなニュースとなった。

報道では、女性からは20歳であると告げられていて未成年とは認識していなかったとされているが、小山さんは活動自粛に追い込まれることとなった。20日程度の芸能活動自粛の後に復帰をしたが、早期の復帰をめぐっては様々な意見も出ている。

飲酒については未成年者飲酒禁止法という法律で禁止されている。これは健康面への配慮から年齢制限を設けるものだが、このほかにも未成年者の保護にまつわる法律は多い。

今回のケースでは飲酒に関連して問題となったが、例えば、日常の取引の中で未成年者が「自分は成年である」と偽った場合、どのようなことになるだろうか。

未成年であっても取引が取り消せなくなることがある

未成年者が親権者の同意を得ないで行った取引は取消ができる、ということは一般的にある程度知られているかもしれないが、この取消ができないことがある。

成年者であると偽っていた場合だ。

通常、未成年者が積極的に金額の大きな契約ごとに関わることはないかもしれないが、近年トラブルになりやすいのはスマートフォンなどを利用した契約に関するトラブルだ。

オンラインゲームで多額に課金をしてしまっているようなケースは多いが、アイテム欲しさに年齢を偽っていたような場合、この取消ができないことがある。

具体的にどのように偽ると取消ができないかはケースによるが、ゲーム中の年齢確認の中で、単に「成年ですか?」という問いや「未成年者は親権者の同意が必要です」といったレベルの簡単なものである場合は、例えウソをついてしまっても取消が可能であるとされている(経済産業省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」)。

考えようによっては、これでも取消不可と判断されてもおかしくないような気がするが、未成年者であることで取消が可能とするのは、判断が未熟な者であるがゆえ、ということであるので、積極的に欺いているかどうかについては慎重に考えようということだ。

未成年者であることで契約が取り消されてしまえば業者としては困ってしまうが「業者の保護」と「未成年者の保護」を天秤にかけて「未成年者の保護」が必要であるのはどうしてか?という点を考えた結果であるともいえる。

成人年齢引き下げは問題なのか?

先月の6月13日、法律の改正によって成人年齢引き下げとなり、2022年4月1日以降は18歳で成人となる。

2022年4月1日以降は18歳で成人ということになるので、先に紹介した未成年者であることを理由とした取消ができないこととなる。

18歳といえば、大学に進学し、親元を離れて初めて一人暮らしを始める方もいるだろう。このような「新成人」をターゲットにした悪質商法がはやるのではないかと大変危惧されている。若年層では「副業」や「サイドビジネス」などのトラブルも多いが、安易に契約をしてしまったら取り消すことができなくなってしまう。

トラブルに直面した若者からすると「取消」という武器を失ってしまうわけで大きな問題ではある。しかし、だからといって現在の「20歳成人」であっても判断力不足を狙われた悪質商法は少なくないわけで、18歳から20歳の間に知識や経験値が飛躍的にアップするわけでもなく「18歳であること」は問題の本質ではない。

問題は判断力不足に付け込んだビジネスがまかり通ってしまっていることにある。

判断力不足に付け込んだビジネスがまかり通ってしまうことに問題がある

国民生活センターによると、20から22歳のトラブルの中には内職・副業として投資用教材などにまつわるトラブルが目立つとされている。

筆者が事務所を置く福岡でもそういった事例がある。起業を目指す若者をターゲットにして起業セミナーを開催するとしながら、マルチ商法の勧誘をして資金をだまし取ったとしてprimoという会社にまつわるトラブルが刑事事件になった事があった。

被害総額は2億円を超えると当時報道されたが、primoと契約をした当事者の中には資金を提供するために金融機関から借り入れをするなどして準備をした例もあった。こうなると「単にprimoとの関係を清算できたら終わり」ではなく借金の清算という別の問題を抱え込むことになる。その後の将来に大きな影響を与えるものである。

ヤミ金融などもそうだが、近年のトラブル事例では自分が悪いことをやっていることを知って犯罪に手を染めている。「悪いことしてますけど何か?」という状況だ。そしてある程度稼いだらふっといなくなってしまう。こうなると当然賠償もしてもらえず泣き寝入りせざるを得ない。

「未成年者取消し」とは、失敗しても後でなかったことにできるという強力な武器ではあるが、この手のやり逃げ被害には対策として十分とは言えない。業者からすれば、取消されようがされまいが、あとは逃げるだけだからだ。

このような被害に対しては、契約の取り消しを認めるなどの方法のほか、刑事罰をもって厳しく取り締まるべきだ。判断力不足に付け込んだビジネスはもはやビジネスとは言えない。このような取引がまかり通ってしまう状況にあることが問題である。

「不要な契約」にいつまでも縛られる?

さらに「不要な契約にいつまでも縛られてしまう」ことにも問題がある。

以前「ライザップはそろそろ前払制度をやめてみたらどうか」という記事を書いた。ライザップが以前用いていた規約では中途解約の際の返金に様々な条件を付していて問題となっていたが、批判を受けこれを改訂した、というニュースを引き合いに、長期間継続する取引では多額の解約金を設定することで解約を阻もうとする事業者の問題を指摘した。

これも言うなれば判断力不足に付け込んだ契約の一種であるといえる。

やってみないとわからないにもかかわらず、やる前からガチガチに契約で縛られているのだ。

資格試験予備校に関する例について相談を受けたことがあるが、授業が下手くそすぎてどうしようもないので解約をしたいが、違約金が高すぎて二の足を踏んでいるという相談を受けたことがある。

利用者が解約を考えるということは、サービスの質について「NO」を突き付けているともいえる。 このような「不要な契約に過剰に縛り付ける」ような契約はそろそろ規制されるべきだ。規制を強化することでビジネスが停滞を招くと危惧する声もあるかもしれないが、むしろ、よりよいサービスの提供をめぐって業者間の自由な競争を促すような適切なルールを整備すべきだろう。

まとめ

冒頭では未成年の飲酒の問題に触れたが、法がそれを禁じているのは、未成年者の健康に対する配慮から保護すべきと考えられているからだ。

保護が必要なのは取引にまつわる世界でも変わらない。成人年齢引き下げは問題に直面する若者を増やすことにはなるだろうが、18歳から20歳の対象者を救えば問題が解決するということではない。なぜ問題が起きるのか、そこに目を向けてしっかりとした対策を考える必要がある。

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