現役司法書士が教える「無料法律相談」を過信せずに利用する方法

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ちまたには無料相談会があふれている。

それは、法律相談についても同様だ。司法書士会などが主催する無料相談会もあれば、個人事務所が開いている無料相談会もある。

司法書士を主人公としたドラマ「びったれ!!」でも司法書士が相談会の相談員として参加する場面があった。私もいくつかの相談会に相談員登録をしていて、当番制で度々無料相談会に参加している。

相談会に参加して感じることは、相談に来た方が求めているものと、こちらが相談会の中で提供しようとしているものがミスマッチを起こしている例が度々あるということだ。

今日は、現役司法書士として「無料法律相談」の利用法を書いてみる。

 

法律相談には、「個性」が出るということを知る。

無料法律相談と一口に言っても様々だ。電話による相談であったり、面談による相談であったり。時間制限があるものもあれば、時間無制限としているものもある。

電話相談などでは、トラブルとなっているものに関する資料をみることはできない。すべての情報は、相談の受け手と相談をする人とのコミュニケーションから得られるものに限定される。電話による場合、微妙なニュアンスが伝わらなかったりすることはよくあることだ。

相談の受け手としては、このように限られた情報を、限られた手段で聴きだした上で、相談に応え意見を述べることになる。その結果、突っ込んだ話となりにくく、相談をする方としては、かゆいところに手の届かないものになりがちだ。

これは、面談相談による場合も同様のことが起り得る。

以前、「裁判官も巻き込まれる賃貸住宅の清算トラブル」という記事を書いたことがある。そこで、裁判官だって法律のプロではあっても内装などの建築に関することについて言えばシロウトだということを書いたが、法律家だからと言って、世の中の取引形態すべてに精通している…などということはない。

相談者が持ち込むトラブルの取引関係に対して、相談を聴く法律家がシロウトであるケースは珍しくない。このようなフワフワとした状況を前提に法律家は相談に応じているのだ。

法律をどのように理解するかは、各法律家によって異なる部分が大きい。通常、法律の解釈をするに際は、過去の裁判例を元に事案の検討をしていく。過去の裁判例を元にしているのであれば大きな差は出ないと思われるかもしれないが、日々、多くの裁判が争われていることから明らかなとおり、各法律家によって判断が分かれるということは珍しくない。

私も相談会に出席して他の法律家の相談内容を聴く機会があるが、自分であればそのような答えにはならないな…と感じることはある。もちろん、私が優秀だ…などと図々しいことを言っているのではなく、相談には「個性」が出るということだ。

 

内科医、外科医、耳鼻科医…法律家に区分けはあるか?

医師にはそれぞれの分野の専門医というものがあるが、法律家にはそのような区分けはない。「司法書士」「弁護士」「税理士」「社会保険労務士」…などといった資格があるのみだ。

全ての分野に精通している…ということはありえない。それぞれ得手不得手が必ずあるものだ。無料法律相談に出かけて行った際、相談を聴いてくれた法律家が自分の相談内容について詳しい者であればいうことはない。しかし、当番制の相談会で誰がどの相談会に参加しているかわからない…というような相談会ではそうはならないケースが多いと思っておかねばならない。

 

無料法律相談を過信しない。

無料法律相談を訪れるメリットの一つは、セカンドオピニオンを聴くことにあると私は考えている。

先ほども述べたとおり、相談には「個性」が出るものだ。治療方針をめぐって数名の医師の診断を聴くように、法的トラブルの際にはセカンドオピニオンとして法律家の意見をいくつか聴いてみるとよい。仮にトラブル解決を依頼しようと考えているのであれば、誰に依頼をするか、判断材料にもなる。

ところで、トラブル解決は自分で進めたいが自分のやり方が正しいかどうか法律家のアドバイスだけが欲しい…という方がいる。このような方にとって無料法律相談はどうだろうか。

トラブル解決に向けた交渉や裁判は状況に応じて変化するものだ。相談に行くたびに違う法律家に相談し、その度に違う方向に進んでいるようでは、自分の納得のいく解決にたどり着くことは難しくなる。手術中に執刀医の変更を願い出るようなものだ。このような希望がある方にとって、無料法律相談を繰り返し受けるという方法は、あまり適していない。

無料法律相談に出かけていくと何でも問題解決ができるというものではない。過信は禁物だ。

しかし、上手に利用することで、トラブルを抱えてしまった際に問題解決の役に立ってくれる。法律家に依頼をしようとする際は、依頼する法律家を自分で選択するときの情報収集の場としても活用できるのだ。

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