意外と怖い 賃貸マンションの保証人

公開日:  最終更新日:2014/11/21

最近、賃貸借契約の保証債務についてのご相談が増えているように思いますので、書いてみたいと思います。

「保証人には絶対なるな!」なんていう話は、よく聞きますよね。

でも、そんな人でも、家族・友人が賃貸マンションなどを借りる際の保証人…となると、 ガードが甘くなってついつい保証人となっている…、なんて人も多いんじゃないかと思います。

※最近では、賃貸借契約をする際は、「条件として、家賃保証会社を利用してください」なんて言われることもかなり増えました。 その時のことは、また別の機会に。



■賃貸借契約の保証人になったときの問題点

●保証する範囲がけっこう広い。

契約書にもよるんですが、保証人が保証するのは、 「借主が大家さんに負っている負債は全て」となっていることが多いと思います。

借主さんもいろんな事情で、家賃が支払えなくなることもあります。

また、部屋を汚していたような場合は、賠償を求められることも。

借主さんが、自主的に退去をしないような場合は、明渡の訴訟になるようなこともありますが、 この明け渡しの訴訟にかかる費用なども、場合によってはバカにならない費用になることもあります。 そのような借主さんが負う可能性のあるものは、全て、保証人が保証しなければなりません。 範囲がけっこう広いんです。


●保証する期間が長い。

賃貸借契約が続く間は、保証人になり続けている…わけですから、 保証人になったときには、予想していなかった借主さんの事情の変更があることも。 保証の範囲が広いものですから、当初想定していなかった負債の保証を抱え込むことにもなりかねません。


●保証人は勝手にやめられない。

契約書のほとんどは、借主が、賃貸物件を借り続けている以上、 保証契約も更新し続ける…となっているものがほとんどです。

契約の相手(大家さん)が、契約の解除に応じてくれない限り、基本的に保証人を止めることはできないんです。


■本来の借主が家賃の支払いをしない… 保証人は、ずっと保証人になり続ける必要があるか?


なかなか、難しい問題です。

法律では、「○○のような場合は、保証人を辞めることができます」という法律はないんです。

裁判所が、事情によって保証契約を解除できる場合もある…と判断している例もあります。ちょっと言い回しが難しいですが、以下に紹介しておきます。

裁判例 期間の定めのない保証契約が締結され相当の期間が経過し、 かつ、賃借人がしばしば賃料の支払いを怠り、 将来においても、誠実にその債務を履行する見込みがないにも関わらず、 賃貸人が依然として賃借人に該当家屋の使用収益をさせ、 賃貸借の解除や明渡などの措置を取らないような場合には、 保証人は賃貸人に対する一方的意思表示により保証契約を解除できる(大判昭和8年4月6日)。


賃貸借契約において賃借人に金額及び期間の定めのない保証人が付されている場合、 賃借人が著しく賃料債務の履行を怠り、 かつ保証の当時予見できなかった資産状態の悪化があって将来保証人の責任が著しく増大することが予想されるときは、 保証人は将来に向かって当該保証契約を解除することができると解すべきである。(東京地裁昭和51年7月16日判決)


 保証人を辞めることができるかどうかは、個別の事情によって非常に難しい問題です。 お困りの方は、一度、ご相談を。

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