誰もが一つや二つ持っている、羽田空港の話
日曜日の最終便で福岡に帰るために、羽田空港で飛行機を待っていたときの話。
出発ロビーで1時間半くらい待っていた。
飛行機をのんびり待っているときは、 音楽聴いたり、小説を読んだりして、時間がゆっくり流れる気がして、わりと好きだ。
そんなとき、 福岡便の出発が遅れるとのアナウンス。
「…、使用機がただいま到着いたしました。あっ…。」
たぶん、「使用機の到着が遅れております」と言いたかったけど、間違えたんだろう。 ツカミを間違えたことにあせったのか、その後のアナウンスはシドロモドロに。 ちゃんと言おうとすると、どんどん、失敗するもんですよね。
「大丈夫。意外にほとんどの人が聞いていないもんだよ」と声をかけてあげたかった。
そうこうしていると、後ろのソファーで、おじいさんが大声で怒鳴っている。
どうも隣の人が、座席に荷物を置いていたことが気に入らなかったようだ。
「ここは、荷物置くところじゃなかろーもん!」と博多弁が響き渡る。
隣の人(若い女性)もツワモノで、ヘッドフォンをして、スマートフォンでゲームをしながら、100%無視をしていた。 まるで、おじいさんなんて、この世に存在しないかのように。 なかなか、ここまで冷静に100%無視できるのは、すごいなと思った。
同じく座席に荷物を二つほど置いていた僕は、今のタイミングで荷物を足元に置きなおしたりしたら、 おじいさんが急に僕に対して矛先を向けて怒りだしたりするんじゃないか…。
それに隣に座っている、ちょっとだけ感じのいい女性(彼女も座席に荷物を山積みしている)も、 僕が荷物をコソコソ足元に置いたりしたら、 「え、なに!?ビビったの?カッコ悪ーい!バカじゃないの!」って思うんじゃないか… なんてことを考えた。
これは現状維持だな。何もするまい。じっとしておこう。 何とも気の小さいやつなのだ。
その横を小さな子供が猛ダッシュしている。 母親は、疲れ果てていて、注意する気力もないんだろう。 その子供は、体力には限界があるなんてこと考えたこともないんだろうな、と思った。 僕くらいになると、もう全力疾走しても、高校生だった頃の自分には勝てない。
待合ロビーの前方の広告用のテレビモニターには、「ご存知ですか。羽田空港には保育園があるんです」 とのフレーズが流れてる。
僕を含めて、こんなにも本当にいろんなタイプの乗客を、 決められた時間に飛行機に放り込んで、 福岡まで(目的地まで)安全に運ばなければならないとは…。 ある意味で保育園みたいだなと思った。
こんな感じで、みんな月曜日を迎えて、 学校に行ったり、 仕事をしたり、 家事をしたりするんだな。